TAMARU MIYUKI.COM

女将のおもてなし講座「水の会」
(2021年度第2回)

日時
2021年6月23日(水曜日)午後2時10分~3時10分
場所
名鉄百貨店バンケットルーム
(名古屋市中村区名駅1-2-1名鉄百貨店本店本館9階)
講師
創業享保元年(1716年)の京菓匠 笹屋伊織十代目女将・田丸みゆきさん
特別講師
京都 北山・鷹ヶ峰の四季育む宿「然林房」若女将・馬渕能理子さん
今月のテーマ
暑気払いのおまじない「水無月」
ドレスコード

京菓匠 笹屋伊織の十代目女将で京都観光おもてなし大使でもある田丸みゆき先生が講師を務める定期講座が毎月、名古屋・名鉄百貨店において開催されている。10年以上続く定期講座の名称は現在、笹屋伊織「女将のおもてなし講座」で、毎月のドレスコード「テーマ柄」が決まっている。~毎月、柄のテーマがございます。お召し物や小物に、各月のテーマ柄を身に着けて楽しみましょう。」~が、田丸みゆき先生からの受講者へのメッセージ。
さて、5月の講座が新型コロナウイルス感染症対策のために休講となったので2021年度第2回となる6月の「女将のおもてなし講座」は特別講座で、京都 北山・鷹ヶ峯の四季育む宿「然林房」の若女将・馬渕能理子さんが特別講師。田丸みゆき先生から馬渕能理子さんの紹介があった後、今月のドレスコード「水」の確認。最初は、田丸みゆき先生ご自身。続いて、ゲストの馬渕能理子さん、さらに受講者へと続いた。

ドレスコードの確認が終わると、馬渕能理子さんの話が始まった。「大阪生まれ大阪育ちの私とは違い、京都生まれ京都育ちの100%京女の若女将」という田丸みゆき先生の紹介があったので、タレントが出身都道府県の県民性などを紹介する人気テレビ番組的に「大阪女と京女」が比較できるという先入観を持って話を聞き始めたが、馬渕能理子さんの話は軽い内容ではなかった。琳派の発祥の地である北山・鷹ヶ峰にある四季育む宿 然林房の紹介から始まり、おじいさまが創業された然林房の家娘として生まれた生立ちから中高時代の話、京都を離れ東京での大学生活、家業に入った頃の現場スタッフとの対立とその解決、女将で社長のお母さまの存在感、インバウンドによる利用客の急増とコロナ禍による利用客の激減という栄光と挫折のストーリーなどとても迫力のある内容で、あっという間に時間が過ぎた。
馬渕能理子さんの話を聞いていて、田丸みゆき先生から老舗京菓子屋に嫁いだ頃の苦労話を聞いたことを思い出した。お二人に共通しているのは、強さ(覚悟ができている)としつこさ(あきらめない)だと思った。田丸みゆき先生の知人の女将を特別講師に迎える「女将繋がり」企画は今回で2回目。馬渕能理子さんにはぜひ、来年度の定期講座にも特別講師として登壇していただきたい。

馬渕能理子さんの話が終わると、京都生まれのお菓子「水無月」とお抹茶でお茶の時間。三角形に切り分け氷に見立てた白いういろうに厄除けの意味がある小豆を重ねた現在の形の水無月は、京菓子屋が考案した陰暦6月朔日の行事「氷室の節句」と陰暦6月晦日の行事「夏越の祓」の2つの行事を意匠したよくばりなお菓子。京都では、夏越の祓が行われる6月30日に、1年の残り半分の無病息災を祈念して食べる風習がある。

text:渡邉 和彦