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女将のおもてなし講座「動物の会」
(2020年度第8回)

日時
2021年3月17日(水曜日)午後2時5分~3時5分
場所
名鉄百貨店バンケットルーム
(名古屋市中村区名駅1-2-1名鉄百貨店本店本館9階)
講師
創業享保元年(1716年)の京菓匠 笹屋伊織十代目女将・田丸みゆきさん
今月のテーマ
〔特別講座〕職人・川合晃志郎による和菓子作り体験
ドレスコード
動物柄
今月のメッセージ
会える時に会う

名鉄百貨店における2020年度の田丸みゆき先生による定期セミナーは、新型コロナウイルス感染症対策として4回の閉講があったので年間計8回の開催となった。2020年度の最後を飾る「女将のおもてなし講座-動物の会-」のテーマは、笹屋さんの職人による和菓子作り体験。田丸みゆき先生から特別講師として紹介された職人・川合晃志郎さんが取り上げた和菓子は、すり下ろしたつくね芋を生地に使う「薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)」(上用饅頭とも)。和菓子作り体験の特別講師として今回の講座で独り立ちを果たした川合晃志郎さんは2016年度の入社で、出身地は17世紀初めに織部焼(青織部・赤織部・黒織部・鳴海織部などと呼ばれる茶陶)を焼いた窯として知られる国指定史跡「元屋敷陶器窯跡」がある岐阜県土岐市(ときし)。

田丸みゆき先生からの講師紹介が終わると、川合晃志郎さんによる薯蕷饅頭作りの実演が始まった。最初は、上用生地作り。すり下ろしたつくね芋に砂糖、上用粉を合わせ力強くこね上げる。上用生地ができたら、1個分へと切り分ける。生地の切り分けが終わると、内ぼかしを入れる作業に続き餡玉を上用生地で包む包餡。包餡が終わり薯蕷饅頭が完成すると外ぼかしの入れ方のお手本。川合晃志郎さんによる実演が終わると、参加者各自が餡玉を上用粉で包む包餡と外ぼかしまたは内ぼかしをつけ薯蕷饅頭を完成させる実技時間。参加者全員が薯蕷饅頭を完成させると、仕上げの蒸し上げという手順だ。

さて、蒸し上がるまでの時間は、田丸先生による人生の節目である冠婚葬祭のハレの日のお菓子「薯蕷饅頭」に関するレクチャー。鎌倉時代〜室町時代に中国から伝来した点心の一つの饅頭については2つの説があるとの話などがあった。饅頭伝来説の一つは、1241年に宋より帰国した東福寺開祖・聖一国師が博多の虎屋という屋号の茶店に伝えたと言われている酒種を使う酒饅頭「虎屋饅頭」説(博多の虎屋と株式会社虎屋とは直接のつながりはないそうだ)。二つ目は、1349年に来朝した中国人の林浄因(後に子孫が塩瀬姓へと改姓)が奈良の地で作った薬饅頭「塩瀬饅頭」説。レクチャーが終わると、蒸し上がったばかりでアツアツの薯蕷饅頭を田丸みゆき先生が点ててくださったお抹茶とともにいただいた。

text:渡邉 和彦