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女将のおもてなし講座「格子柄の会」
(2020年度第5回)

日時
2020年11月11日(水曜日)午後2時5分~3時15分
場所
名鉄百貨店バンケットルーム
(名古屋市中村区名駅1-2-1名鉄百貨店本店本館9階)
特別講師
笹屋伊織十代目女将・田丸みゆきさん
今月のテーマ
秋の味覚 栗のお菓子「み月」
ドレスコード
格子柄
今月のメッセージ
動じない

2020年度5回目となる「女将のおもてなし講座」のテーマとして田丸みゆき先生がテーマとして選んだ 、秋の味覚 栗のお菓子み月」は、「栗羊羹に満月に見立てた村雨を重ね、さりげなく金箔をあしらった」お菓子。夜空に浮かぶ満月を彷彿させる「み月」は、皇室の菩提寺である総本山御寺泉涌寺(みてら・せんにゅうじ)境内で、年内は12月6日までの期間でしか購入することができない入手困難なお菓子。JR東海の「そうだ京都、行こう」の2009年初秋のキャンペーンで紹介された泉涌寺のテレビCMのために特別に調整された「み月」は、泉涌寺の第154世長老の上村貞郎(ていろう)猊下(げいか)より御命名・御染筆を賜ったお菓子で、「み月」の「み」がひらがなになっているのは、美しい「美月」、月を観る「観月」、味わう「味月」、実りの「実月」、ますます栄える「弥月」、そして田丸 みゆき 先生 の「み月」などいろいろな月を愛でていただくようにという思いが込められているからだそうだ。

さて、「み月」にも使われている栗は、代表的な秋の味覚の果物の一つだ。栗を使ったお菓子というと、洋菓子のモンブランを思い浮かべ、栗は海外から日本へ伝播された果物だと思っている方が多いかもしれない。でも、栗は縄文時代の日本人の主食(栄養源)だったことが縄文遺跡から出土した栗果実からわかっている。縄文人が食べていたのは、DNA分析で野生栗ではなく栽培した栗だったことがわかっているというから驚きだ。栗がお菓子として最初に使われたのは、室町時代の日記、茶会記に記録が残っている栗粉餅(栗粉を餅にまぶした素朴なお菓子)だそうだ。

栗の産地銘柄としては、京都府から兵庫県にまたがる丹波地域で栽培されている「丹波栗」の知名度が他を圧倒しているが、2019年の都道府県別収穫量を見ると意外にも、1位は茨城県で収穫量3,090トン。2位が熊本県2,810トン、3位愛媛県1,350トン、4位岐阜県762トンそして5位宮崎県が596トン(同4%)となっており、収穫量上位5県で全国の約6割を占めている。田丸みゆき先生による栗についての学びの時間が終わると、御寺泉涌寺限定菓「み月」とお抹茶でお茶時間。

創業享保元年(1716年)の京菓匠 笹屋伊織には、「み月」の他にも、日本人が好きな栗を使ったお菓子がある。笹屋さんの秋のお菓子の中でお勧めは、栗蒸羊羹。笹屋さんがプロデュースする和カフェ「京都イオリカフェ」の秋限定メニューでお勧めは、和栗モンブランパフェ。

text:渡邉 和彦