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女将のおもてなし講座「グラデーションの会」
(2020年度第3回)

日時
2020年9月16日(水曜日)午後2時5分~3時10分
場所
名鉄百貨店バンケットルーム
(名古屋市中村区名駅1-2-1名鉄百貨店本店本館9階)
特別講師
笹屋伊織十代目女将・田丸みゆきさん
今月のテーマ
寿ぎの和菓子「蓬莱山」(子持饅頭)
ドレスコード
グラデーション
今月のメッセージ
分かち合う

享保元年(1716年)創業の京菓匠 笹屋伊織10代目女将で京都観光おもてなし大使でもある田丸みゆき先生が講師を務めるセミナーの名称が今年度(2020年度)から「女将のおもてなし講座」へと変わった。4月から6月の3ヶ月間は新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として休講期間だった。今回で今年度3回目の開講となる「女将のおもてなし講座 -グラデーションの会-」におけるテーマは、~寿ぎの和菓子「蓬莱山」(子持饅頭)~。大きな薯蕷饅頭の中に小さな薯蕷饅頭が入っていることから子持饅頭との別名がある「蓬莱山」は、田丸みゆき先生が毎年1回取り上げる、職人の熟練の技とセンスが凝縮された江戸時代から伝わる和菓子だ。

「蓬莱山」をいただく前に学びの時間、田丸みゆき先生による「蓬莱山」に関するレクチャー。「蓬莱山」とは、中国の不老不死の仙人が住むと言われる伝説の理想の島のことで、日本へ伝わったその意匠は平安時代から漆器、鏡などに用いられたそうだ。当初は長寿の象徴の常緑の松と鶴亀だけだったものが、時代とともに新しい意匠が加わり、現在の寿ぎの文様である鶴亀と松竹梅の意匠へと変化した。
和菓子の世界では、子持饅頭を 切り分けた際の切り口が 岩が重なり合ってそびえ立つ蓬莱山の形を 連想させるため、蓬莱山と呼ばれることが多い。子持饅頭といえば、茶の湯の心構え として「 一期一会」を説いたことで知られる江戸時代後期の大名茶人の井伊家13代直弼が安政4年(1857年11月27日 、敬愛する茶の湯の師を招いた茶会で 子持饅頭を濃茶の口取りとして用いたことが「東都水屋帳」井伊直弼筆に記録されている 。

それでは、笹屋さんの職人頭・木子 勝さん作「蓬莱山2020年秋」、~五色の小饅頭が入った大きな薯蕷饅頭がきんとんで装飾された子持饅頭~ をご覧ください。

田丸みゆき先生が切り分けた笹屋さんの「蓬莱山」を薄茶といただいた。江戸時代から伝わる寿ぎの和菓子「蓬莱山」は後世へ伝えたい和菓子だ。

text:渡邉 和彦