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「愛される所作~白色の会」
(2019年度第11回)

日時
2020年2月5日(水曜日)午後2時5分~3時5分
場所
名鉄百貨店本店本館9階バンケットルーム
(名古屋市中村区名駅1-2-1)
特別講座
笹職人による和菓子作り体験(こなしと練り切り)

笹屋伊織十代目女将の田丸みゆき先生が講師を務める女将塾の2019年度第11回「愛される所作~白色の会」は、特別講座「職人による和菓子作り体験」。特別講師は、入社4年目の川合晃志郎さん(岐阜県土岐市出身)と2019年10月に笹屋さんを退社、御室和菓子「いと達」を創業した伊藤達也さん(愛知県豊田市出身)の2人。作る和菓子は、こなしと練り切りを使った「源平咲き」という菓銘のお菓子。川合さんによると、こなしと錬り切りを使った紅梅と白梅をイメージしたお菓子なので、一本の梅の木に紅梅と白梅が咲く「源平咲き」を菓銘としたそうだ。なるほど。

田丸みゆき先生による川合さんと伊藤さんの紹介が終わり、特別講座が始まった。川合さんから「こなしと錬り切り」についての説明があった。こなしが「漉しあんに小麦粉などを混ぜて蒸し、揉みこなした生地」に対して、煉り切りは「漉しあんに求肥などのつなぎを加え練り上げて仕上げたあん」だそうだ。「こなしと錬り切り」の製法の違いは、「小麦粉を混ぜて蒸す」がポイント。次の写真をご覧ください。紅色が「こなし」白色が「錬り切り」。製法の違いはわかったが、見た目では違いがよくわかりませんね。「こなしと錬り切り」についての説明が終わると、川合さんは菓銘「源平咲き」のお手本づくりを始めた。こなしと錬り切りを合わせ丸めて、白あん玉を包む生地を作る。その生地をのばし白あんを包み込む。包餡が終わると、ヘラで切り込みを入れて梅の形に仕上げ、においをつけて完成。

川合さんによるお手本の実演が終わると、参加者各自が菓銘「源平咲き」作りを完成させる実技時間。「源平咲き」が出来上がると、お抹茶といっしょにいただいた。「こなしと錬り切り」を使った菓銘「源平咲き」を黒文字で切り分けて食べ比べたことで、「こなしと錬り切り」の違いがよくわかった。

今回の特別講座「職人による和菓子作り体験」を以って、前任者の伊藤さんから後任者の川合さんへの業務引継ぎが完了した。私の記録では、笹屋さんを卒業した伊藤さんが田丸みゆき先生の講座で和菓子作り体験の講師として初めて登壇したのは、2013年1月22日に京都イオリカフェ大丸京都店開かれた「京菓子の心と和のマナー講座」のことだ。伊藤さんが和菓子作り体験のお菓子として取り上げたのは、新年を寿ぐ和菓子「花びら餅」だった。それから約7年、お疲れさまでした。御室和菓子「いと達」のご発展をお祈りいたします。一方、後を任された川合さんには他では体験できないオリジナリティーのある「職人による和菓子作り体験」講座の企画を期待したい。田丸みゆき先生によると、次の「職人による和菓子作り体験」講座は、2021年2月10日(水曜日)の予定だそうだ。

text:渡邉 和彦