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「愛される所作~菜の花色の会」
(2019年度第10回)

日時
2020年1月15日(水曜日)午後2時~3時
場所
名鉄百貨店本店本館9階バンケットルーム
(名古屋市中村区名駅1-2-1)
特別講師
笹屋伊織十代目女将・田丸みゆきさん
テーマ
京のお正月を楽しむ(大福茶とお題菓子)

令和2年最初の女将塾「愛される所作~菜の花色の会」が定刻の午後2時より始まった。田丸みゆき先生が初春月のテーマとして取り上げたのは「京のお正月を楽しむ」で、平安時代から伝わる京のお正月の慣わしに倣い、一年の無病息災を祈って大福茶(おおぶくちゃ)をいただいた。田丸みゆき先生が選んだ「大福茶」は、一保堂の玄米茶。「大福茶」を入れる蓋付煎茶碗は、女将塾の当日朝、京都よりキャリーバッグに入れてご自分で運んできたそうだ。

さて、茶菓、茶菓子、茶請け、茶の子という言葉があることからもわかる通り、お茶にはお菓子がつきものだ。田丸みゆき先生が「大福茶」に合わせたお菓子は、「令和の初春」という菓銘の羊羹、梅の干菓子、そして干支の麩焼きせんべいの3種。「なんだ、羊羹か」などと言うなかれ。羊羹「令和の初春」をよくご覧ください。青えんどう豆を甘く柔らかく炊いた鶯豆が潜んでいます。さあ、ここからが連想ゲーム。「鶯豆」から「鶯」の異名「春告鳥」が思い浮かぶ。元号が令和になって初めて迎える春、故に「令和の初春」。羊羹はインスタ映えしないお菓子かもしれないが、「鶯豆」を忍ばせた羊羹に「令和の初春」という菓銘を付けた和菓子職人のセンスから春の訪れをイメージすることができる。(見て楽しむではなく)菓銘を聞いて楽しむ、和菓子。羊羹「令和の初春」に梅の干菓子を添えることにより一層「春の訪れ」のイメージが膨らむ。梅の干菓子を選んだ田丸みゆき先生にも座布団一枚。

なお、菓銘「令和の初春」は、お題菓子(御題菓子、勅題菓子とも)というジャンルに入る和菓子だそうだ。お題菓子は、毎年1月に皇居で開かれる歌会始のお題に因む意匠菓子のこと。令和2年のお題「望(のぞみ)」から笹屋さんが意匠を凝らし(販売用に)創作したのが菓銘「令和の初春」の羊羹だそうだ。販売用とは別に、笹屋さんが参加する江戸時代の上菓子屋仲間の流れをくむ「菓匠会」(会員18軒)は毎年、謹作「お題菓子」を皇居へ献上しているそうだ(献上の「お題菓子」の写真は非公開)。

text:渡邉 和彦