TAMARU MIYUKI.COM

笹屋伊織の女将塾「愛される所作~梅紫色の会」
in 名鉄百貨店

日時
2019年2月6日(水曜日) 午後2時5分~3時5分
場所
名鉄百貨店本店本館9階バンケットルーム(名古屋市中村区名駅1-2-1)
今月のお菓子
春のきんとん 秋のきんとん

2018年度11回目となる女将塾で田丸先生が取り上げたお菓子は、上用まんじゅうとともに茶席菓子を代表する「きんとん」。きんとんは、芯となる餡玉に篩(ふるい)で出したそぼろ状の餡をつけたお菓子。きんとんが、そぼろの色使いと菓銘の付け方で季節により変化することを参加者に実際に確かめてもらうために田丸先生は今回、春のきんとん3種類と秋のきんとん3種類を京都から新幹線に乗ってご自分で運んできたそうだ。午前の部・午後の部・特別会・夜の部の4回開講の名鉄百貨店における女将塾参加者は毎回70人ほど。1人1個だから70個ほどのきんとんになるが、田丸先生は「(子持まんじゅうとも呼ばれるめでたいお菓子の)蓬莱山は両手で持たないといけないけど、今回のきんとんは片手で大丈夫だった」そうだ。さすが元アスリート。

平安時代の「こんとん」から江戸時代後期に現在のような「そぼろきんとん」になるまでの「きんとんの変遷」についてのレクチャーを受けた後、きんとんの菓子器への盛りつけ方について学んだ。「お菓子の扱いは大胆かつ丁寧に!」、「繊細なきんとんは崩れやすいので、深い器など場合によっては箸にのせるのではなく、きんとんを箸で刺して取り、菓子器へ盛りつけてもいいのよ」といったアドバイスをしながら田丸先生が「大胆かつ丁寧な」お手本を示してくれた。お見事!さすが老舗京菓匠の女将。続いて田丸先生のお手本を参考に、参加者の代表が盛りつけを試した。今回用意された「春のきんとん」は、菓銘が「菜種きんとん」、「爛漫」および「藤棚」の3種類。「秋のきんとん」は、菓銘が「野菊」、「唐錦」、「木枯し」の3種類。

下記の写真の菓子器に見立てた福桝は、田丸先生が今年の京都・松尾大社の節分祭において「福女良」(田丸先生、ちょっと無理があるので「福娘」とは書けません)として福豆撒きをご奉仕された時に使った縁起物。菓子器への盛りつけ方の実践が終わると、お茶席における「お菓子の頂き方」を学んだ。①次の方に「お先に」と礼をする ②感謝の気持ちで軽く、押しいただく ③お菓子を取った後、箸先を懐紙の端で清める。 ④次の方に菓子器を送る

続いて、実際にきんとんをいただく時に注意することについて学んだ。懐紙の折り方、「食べる前にきんとんをしっかり見る。そぼろの色使いだけでなく、そぼろの大きさ、餡玉は何餡なのか」、黒文字できんとんを切り分ける時の注意することとして「ケーキの様に端からカットしないで、まず半分に切る」、「半分に切ったら、餡を見る」、「黒文字で切る時は、ためらわずに一気にきる」など。そして、やっと待ちに待った甘楽茶楽タイム。食べ終わったら、後片付け。今回は学ぶことがとても多い女将塾だった。

text:渡邉 和彦