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笹屋伊織の女将塾「愛される所作~緑色の会 」
in 名鉄百貨店

日時
2017年5月18日(木曜日) 午後2時~2時50分
場所
名鉄百貨店本店本館9階バンケットルーム(名古屋市中村区名駅1-2-1)
今月のお菓子
錦玉と葛羹
特別講座
京都お店との付き合い方

4月から始まった2017年度の笹屋伊織の女将塾「愛される所作」、「今年度は、毎月の色のテーマを決めました。お召し物や小物に各回のテーマの色を少し意識して楽しんで頂ければと存じます」が田丸先生から受講者へのメッセージだ。新緑の5月、今月の色は「緑色」。さて、今月のお菓子の話に入る前に、これまでに2回出演したフジテレビの「直撃LIVE グッディ!」の報告会、5月19日と6月12日の出演が既に決まっているそうだ。ということはレギュラー当確か。

今月のお菓子は、花弁が4枚あることから四葩(よひら)とも呼ばれる「紫陽花」を菓題としたお菓子2品。1つ目は、さいの目に切った錦玉(きんぎょく)で餡玉を包んだお菓子、菓銘「よひらの花」。花の色が変わることから「七変化」という別名もある「紫陽花」、京菓子職人は餡玉の色を変えることで表現する。寒天を煮とかし砂糖を加え、固めた錦玉は、写真ではわかりにくいかもしれないが、光が当たるとキラキラ反射して水面を連想させる、涼しげだ。もう一つのお菓子は、錦玉羹に葛粉を加え固めた葛羹のお菓子、菓銘「ひとひらの」。葛羹の中に「紫陽花」が浮かんでいる。葛羹も透明度が高く、爽やかだ。

今月のお菓子の原材料として使われた寒天は、天草、オゴソウなどの紅藻類を原料とするトコロテンを凍結乾燥して作られるが、江戸時代の京都・伏見で偶然に発見された干しトコロテンを改良したものだと伝わっている。葛粉は葛の根から澱粉を取り出し精製したもので、品質がよい奈良県吉野産が有名だが、希少で高額なので最近は九州産が出回っているそうだ。天然素材を原料とした寒天も葛粉も、京菓子にとってはなくてはならない原材料だ。
今月のお菓子2品とお抹茶で一服したら、今月のテーマ「京都のお店との付き合い方」について田丸先生のレクチャーが始まった。初めて利用するお店の場合は知り合いに紹介してもらう、紹介してもらった知り合いの顔を立てる、予約は必ず入れる、人数変更またはキャンセルは知恵をしぼってできるかぎり避けるなどのお店と上手に付き合うためのポイントは、京都のお店に限らず名古屋においても、生鮮食材を使って料理を仕立てる席数の少ないお店を利用するときなどに参考になる話だった。お店との上手な付き合い方は、言い換えると、お店、いやお店のご主人との信頼関係をいかに築き上げるかと言うことだと思った。信頼関係の構築には時間がかかるが、壊れるのは一瞬だ。気に入ったお店と長く付き合うにはどうしたらよいかのヒントになるレクチャーだった。なお、昨年10月28日に発売された著書「老舗京菓子の女将にならう 愛される所作」が版を重ね、電子版も発売されたそうだ。

text:渡邉 和彦