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京菓子の美しいいただき方と和の美人度アップ講座
in 名鉄百貨店

日時
2017年1月18日
場所
名鉄百貨店本店本館9階バンケットルーム(名古屋市中村区名駅1-2-1)
今月のお菓子
蓬莱山
ワンポイント講座
あきらめない美人

今月のお菓子は「蓬莱山」、田丸先生のセミナーで初めて取り上げるお菓子。「蓬莱山」は中国の不老不死の仙人が住むと伝わる理想の島のこと。結婚披露宴の引き出物として使われる京菓子の「蓬莱山」は、きんとんで飾り付けた大きな薯蕷饅頭の中に色とりどりの小さな薯蕷饅頭が入っているので「子持ち饅頭」と呼ばれることもある。

「蓬莱山」についての説明が終わると、田丸先生は笹屋さんの職人から借りてきた長尺の製菓包丁(伝統のある堺刃物)を使って「蓬莱山」を切り始めた。半分に切ったときの断面を見た受講者からいっせいに歓声があがった。受講者数分に切り分ける前に、「写真タ~イム、みなさん、前へどうぞ」。

「写真タ~イム」が終わると、切り分けられた「蓬莱山」をお抹茶といっしょにいただいた。甘楽茶楽タイム。

セミナー後半は今月のワンポイント講座、テーマは「あきらめない美人」。田丸先生はこのセミナーを立ち上げた当初の受講者がなかなか集まらなくて苦労した時のことを話し始めた。創業享保元年(1716年)の京菓匠「笹屋伊織」がプロデュースする京都イオリカフェ名鉄百貨店においてセミナーが始まったのは7年ほど前のこと。セミナーの会場は現在、最大で24名ほど着席可能なバンケットルームだが、スタート当時は京都イオリカフェ店内での開催だった。わたしが受講したセミナーで最も受講者が少なかったのは5~6名だったと記憶しているが、田丸先生によると2名だけだったことがあったそうだ。
名鉄百貨店に3年ほど先行してセミナーをスタートした京都大丸店においても、セミナー開催日の2日前時点の受講申込者が2名だけだったこともあり、受講者が集まらない状況でセミナーを継続することは意味がないと思った田丸先生はある日、ご主人(「笹屋伊織」十代目当主・田丸道哉さん)に相談した。「受講者2名だけ。だから、セミナーを続ける意味がない」と言うと、ご主人から「2名も受講してくださる、ありがたい」と諫められたそうだ。
田丸先生の「2名だけ」に対してご主人が「2名も」と言ったこの話から、「(簡単に)あきらめない」だけでなく多くのことを学ぶことができると思った。受講を希望する方は田丸先生のセミナーに何らかの期待を持っているはずだから、セミナーを中止することはその期待を裏切ることになる。別の言い方をすれば、受講者が少ないからというだけの理由でセミナーを止めることは、「お客さまファ―スト」ではなく「自分ファースト」である。また「2名だけ」の受講者の中に、人気ブロガーがいたり、どんなセミナーなのか下見にきた団体の役員がいるかもしれない。そう考えると、「2名だけ」で止めることはチャンロス(機会損失)になる可能性があると思う。

「2名だけ」という理由でセミナーをあきらめずにその後、受講者集めなどに奮闘した結果、田丸先生のセミナーは現在、各回とも受講者20名以上の人気セミナーとなっている。4月からの新しいプログラムが楽しみだ。

text:渡邉 和彦