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京菓子の美しいいただき方と和の美人度アップ講座
in 名鉄百貨店

日時
2016年12月7日
場所
名鉄百貨店本店本館9階バンケットルーム(名古屋市中村区名駅1-2-1)
今月のお菓子
きんとんと浮島
ワンポイント講座
食べ方美人

今月のお菓子は、きんとん(菓銘「聖夜」)と浮島(菓銘「サンタクロース」)。今回のお菓子はいずれも、このセミナーのために特別に調製されたお菓子だ。田丸先生より、きんとんと浮島についての解説があった。きんとんは「餡玉の周りに餡のそぼろをつけたもの」で、そぼろの色使いと菓銘により季節を表現する京菓子を代表するお菓子の一つである。浮島は「泡立てた卵白を使う蒸菓子」で、餡を混ぜ込むためにしっとりとしている(和風カステラ)。

続いて、お菓子の取り方について箸の使い方などのお手本を示しながらのレクチャーがあった。箸の持ち方、懐紙の折り方など覚えなければならないことが多いが、隣の方への「お先に」の心配りの一言が大切なことがわかった。

お菓子の取り方に続いて、きんとんと浮島の食べ方についてのレクチャー。手で直接取って一口で食べたいところだが、黒文字を使って2分割していただいた。2分割したらすぐに食べ始めるのではなく、そぼろに包まれていた(隠されていた)餡玉をしっかりと見てあげることが京菓子職人への礼儀だと思う。なお、黒文字の上手な使い方のポイントは、寝かせて使うのではなく、45度くらいに立てて一気にお菓子を切ることだそうだ。2分割では大きすぎる場合、4分割してもよい。やってはいけない食べ方はとして、「ケーキを食べるように端から少しずつカットして食べないこと」と注意があった。美術館に併設された気軽にお抹茶と和菓子がいただける立礼席などで、和菓子をケーキのように食べている人を何度も見たことがあるが、畳の部屋がない、急須がない、ナイフ・フォーク・スプーンをよく使うなどライフスタイルが欧米化した今日、お菓子といえばケーキなので、ケーキの食べ方で和菓子を食べてしまうのだろう。和菓子が日常生活にないライフスタイルだから無理もないのかもしれないが、残念なことだ。

今月のワンポイント講座のテーマは「食べ方美人」。家庭での食事の時に箸置きを使うことを勧められた。(ご飯は左、お味噌汁は右に置くという基本に加え)箸置きがあることで箸の置き場所(定位置)が決まり、右手に箸を持ったまま、左手で味噌汁を飲むことがなくなるそうだ。この話を聞いて、数年前にあるレストランで目撃したことを思い出した。わたしの近くの席にいたお客さまがナイフとフォークを使ってステーキをカットした後、右手に持ち替えたフォークでカットしたステーキを食べながら、つけあわせのフレンチフライ(フライドポテト)を左手で直接取って食べ始めた。ハンバーガーなどのファーストフード店で買ったフライドポテトは指でつまんで食べる(フィンガーフード)ことが子どもの頃から当たり前で、それが習慣になっているからだろうが、和洋を問わず、カトラリーは正しく使いたいと思った。

text:渡邉 和彦